Macに関するいくつかの誤解

 新型MacBookAirを使い始めてだいたい2ヶ月。まあキリもいいので、個人的にMacintoshについてどうも誤解を招いているのではないかという部分を少し語ってみようではありませんか。

 そういえばそもそもこのブログも開発中止になってしまったiWebの代替品を探して始めたものでした。

注)新米提督にはコンピュータの専門知識がありません!

 

 一般的にMacの良いところ、悪いところはいくつかいわれています。

 代表的なものだと

 といったあたりがよく比較されています。

 僕はWindowsXP・8のマシンも使っていたので、この中で当てはまらないものを考えてみました。

 

 

Macに関する5つの誤解



Macは別に“速くない”

速い→誤解

 Windowsマシンでも同等の処理能力があればほぼ同様の結果になります。Macが速いのは低電圧ながらオーバークロック対応のCPUである点と、PCI接続のSSDを搭載していることにあり、同等のハードウェアであればWinマシンでも互角。事実、SONY VAIO DUOがMacBookAirと互角のハードウェア能力を有していますが、わずかにそちらの方が速いとのことです。Macだから速いのではなく、標準のマシンスペックが高いだけです。

 

セキュリティは“普通”

セキュリティがしっかりしている→誤解

 単純にMacOSはWindowsに比べて出荷数が少ないために対応しているウィルスの報告も少ないというだけです。Appleが対策をしっかりとっているのでウィルスやスパイウェアが少ない、という理由は間違っています。

 

制作はWindowsでも可能

グラフィックス(や音楽)に強い→誤解

 プリインストールのiMovieは映像編集、GaragebandはDTMに関して破格の性能を有していますが、言ってしまえばそれだけです。本格的にやりたい場合は専用のソフトウェアを購入することになります。ハードウェアとしてMacが音楽や動画の編集に優れているとはいえません。特にFire Wireがオミットされてしまった点が大きく、USBのみでは若干安定性に欠けます。Thunderbolt対応の周辺機器が揃ってくればこの辺りはまた違ってくるとは思いますが。

 

Macは“安い”

値段が高い→誤解

 これがおそらく最大の誤解だと思います。廉価版のMacBookAirで約9万円(直販モデル)です。ハードウェアとしての最大の特徴はCore i5(4260U)・PCI接続の高速SSD・intel HD 5000グラフィックスを搭載していることにあります。さらに、重量は約1kgと軽量でバッテリーの持ち時間も長い。これらの条件を満たしたWindowsマシンは軒並み12万円を超えており、価格において近似の製品はMicrosoft Surface Proのみです。フルHDの解像度を備えた製品ですが、こちらはタブレットであり、キーボードを購入するとやはり12万円を超えてしまいます。

 

安定性の比較はできない

安定性が高い→誤解

 下記で解説。


 

 あまりにMacのいいところが無いので、以上を踏まえた上で補足していきましょう。面倒な人は結論の緑文字だけ読んでいただければ結構です。

 

Officeについて

 MS OfficeはMac版も提供されています。そちらを購入すればかなりの確率で解決します。別途購入しなきゃいけないのか?予算が…という方は安心してください。WindowsマシンでもOfficeを搭載すると25,000円かかります。MacとWindowsどちらを選んでも変わりません

 余談ですが、Macに標準搭載されているiWorksは非常に優秀なオフィスソフトです。少し扱い方を覚えればMS Officeとの互換性も確保されます。Numbers(表計算)はクロスセクションデータを扱うことができ(Exelでは不可能)、Keynote(プレゼンテーション)はPowerPointとはひと味違うスライドを作ることができます。実はこれでフラッシュムービーも作れます。

 

システムの安定性について

 これは中身ではなく見え方の問題であると言えます。実際のところ、MacOS単体とWindows単体を比較して安定性を競うことは不可能です。ただ、いくつかの構成要素が絡まってWindowsは本来の力を発揮できていないため、結果的に不安定になっているとは言えます。使う側からすれば単純にMacが安定して見えるのは仕方がないことですね。理由をいくつか挙げてみましょう。

 

1.PCメーカーとMicrosoftの間のギャップ

 Windowsは数多くのメーカーのPCに搭載することが可能です。これは売る側にとっては非常に大きな利点の一つですが、購入する側から見ると一つのマシンの中心部分のサプライヤーが二つあることになります。Windowsのある問題が特定のメーカーのPCで発生することもあり、問題の解決に非常に時間がかかります。

 これは僕の一つの体験談ですが、致命的なトラブルがあったときにマシンメーカーとMicrosoftのサポートをたらい回しにされた挙げ句に解決しなかった経験もあり、OEMメーカーとMicrosoftの間での距離を少なからず感じてはいます。Macの場合は渋谷のGenius Barに持って行くと即時無料で治してくれました。あくまで僕の運が悪かっただけなので別の場合もたくさんあるでしょう。

 

2.Microsoftの企業文化-最新のWindowsは試作品-

 Microsftは新しいOSをローンチする場合、ハードウェアの能力を少々先取りしてしまう文化を持った企業と言われています。「金を払ってテストプレイをしている」とはよく言ったもので、ユーザーにとっては不幸な事実です。XPやVistaの例を取り上げてみても同様で、市販されているマシンの多くは最新のWindowsが要求する安定稼働の条件を満たしていません。そのため一部のハイスペックPCを除いて、最新のWindowsを搭載したマシンは不安定な製品として仕上がってしまっています。数年すれば8.1も名作と呼ばれる日が(多分)くるでしょう。

 

3.ではAppleはどうなのか?

 MacOSが殆どの場合Apple製のマシン上でのみ稼働することは有名です。先に述べたハードウェアとのギャップはWindowsマシンに比べれば当然小さくなります。また、AppleはiPhone・MacBookAirを基幹にモバイル文化の先導者でもありました。フルスペックの最速Macよりも、よりコモディティ化された低スペックのモバイルマシンが市場の中心になるべきだと考えていたのは明白です。現在のMacOS 10.9xはWindows8に比べると遥かにコンパクトで省メモリな構成でまとめられています。派手なチャレンジをすることなく熟成されたOSを搭載すれば、必然的に安定感が確保されます。


 

結論としては?

 結論としては、Windowsに比べてMacOSが格別優れている点はありません。しかもアプリケーションが少なく、特にゲームは無理です。ぶっちゃけた話、わざわざMacを使う必要はありません。

 

 ただし、いちいちシャレオツな見た目とソフトウェアが揃っているので、これらに価値を見いだすなら十分に使えるでしょう。最大の特徴は安価なところでしょうか。

 

 MacユーザーがMacを推す場合、この不便さと格闘して打ち勝った経験が彼らにとってとても大事なドラマだからだと思います。例えば、右クリックが無いからショートカットキーをたくさん覚えたら結果として作業のスピートが加速する、とか、プレゼンテーションをPlayStation2で再生するために動画編集の知識を得るとか。いくつかの困難はマシンに対する理解度を深める良い機会にもなります。これらの知識は制作にかなりの影響を与えるでしょう。   

 

 コンピュータで消費する側に回るか、コンピュータで制作する側に回るか。それら各人の自由ですし、別にMacでなくても経験できます。新米の制作能力は微々たるものですが、漢字Talk7.5の昔からMacintoshが大好きです。

 でも、Macを自慢するのもWindowsをけなすのもやめましょうついでに専用フォーマットばかりを使うのもやめましょう。その行為は不当ですし格好悪いです。Macが優れている点なんて殆どないのですから。文字通り「Macがお高くとまって」いた時代は終了しました。我々もこのイメージから脱却しましょう。

 もしも理不尽に自分のMacをバカにされたときには“こんなドラマを経験できないなんてとても損をしているなあ”と心の中で憐れむのみに留めましょう。

 

 以上、MacとHTMLの練習がてら遊んでみたコーナーでした。